大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)892 判決

主 文

原判決を破棄し本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人古屋貞雄、同岩間泉の上告理由第一点について。

原判決は、D製材有限会社の成立に至らなかつた経過事実を証拠を挙げて詳細に

認定しながら、それに引きつづき直ちに「昭和二二年二月頃から右七名による組合

組織で製材事業を始め」と判示し、組合契約成立の経過についても内容についても

なんら証拠を挙げて説示するところがない。原審が結局上告人(被控訴人)の請求

を排斥した理由が、組合員特に被上告人が本件物件の所有権が組合に属すると信じ

ていたという事実認定を前提とする以上、組合契約成立に関する判示理由がきわめ

て不十分であるとのそしりを免れない。のみならず仮りに組合は、共同の目的事業

経営のため出資する約束だけで成立するから特に規約内容等を挙げる必要はないと

いう見解に立つとしても、原審は、多くの証拠と詳細な説明とによつて、上告人と

組合との間に、本件工場建物並びに機械器具の売買契約が成立したとの事実を認め

るに足りないとし、したがつて「たとえ組合清算人Eと控訴人(被上告人)Bとの

為に本件工場建物並びに機械器具の売買契約がなされたとしても、これにより控訴

人Bがその所有権を取得すべきいわれはない」と認定しているところによれば、組

合の事情をよく知つているのを通例とする組合員は、本件物件の所有権が組合に属

しないことも知つていると見るのが通例であつて、これと反対の事実を認定しうる

ためには、これを肯認するに足りる十分な特段な事情の存することを明らかにしな

ければならない。しかるに原審が、結論として組合員その他の関係者たちが本件物

件が「組合の所有に属するものと信じていたことが認められる」とする判示理由は、

前段の認定事実と比べてとうてい首肯するに足りないばかりでなく、原審はさらに

すすんで被上告人の判示行為について「被控訴人(上告人)の所有権を侵害する故

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意のなかつたことは勿論他に特別の事情のない限り、過失もなかつたものと認める

のを相当とする」とまで断定したのは、独断の非難を免れず理由不備、審理不尽の

違法があるといわなければならない。上告論旨はこの点において理由があるに帰し、

原判決を破棄し原審に差し戻すを相当とする。

よつてその余の論旨に対する判断を省略し民訴四〇七条により全裁判官一致の意

見で主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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